2018年5月14日(月)に行われた、「YAMATO String Quartet 2018 後援会プレミアムライブコンサート ~定期公演を100倍楽しむためのプレコンサート~」の模様をお届けします。
これまでにも毎年「後援会会員様限定ご招待」のコンサートはありましたが、2018年からは「定期公演を100倍楽しむためのプレコンサート」という副題を提げ、全く新しい形のコンサートとなりました。
当日のプログラムは…(画像はクリックで大きく表示されます)
2018年定期公演の曲目を中心に、関わりのある曲などが選ばれました。
ステージ上にはスクリーンが設置されています。
今回のコンサートでは、このスクリーンに画像を映したり、原曲の音源を聴いたりしながら、定期公演を100倍楽しむポイントを一緒に予習していきます。
まずはチェロの阪田宏彰より、コンサートの概要や、隠しテーマの発表です。
2018年定期公演の隠しテーマは「狂」。9月19日横浜公演の曲から解説が始まります。
最初にラヴェルの紹介です。
ラヴェルと同じくローマ大賞で苦杯を舐めたナディア・ブーランジェの教え子にアストル・ピアソラがいた、というつながりについてのお話のあと、ラヴェルの大ファンだった伊福部昭が、ラヴェルから受けた影響についての解説がありました。
そして実際にラヴェルの曲を聴きながら楽譜を見て、複数のリズムが同時に存在することで独特なグルーヴを生む手法「ポリリズム」についての解説です。
伊福部昭の曲として聴きなれたメロディーが、ラヴェルの曲からも聴こえてきました。
ここで石田泰尚・執行恒宏・榎戸崇浩の3名が入場します。
次に、「ブエノスアイレスの春」の演奏と解説が行われました。
この曲で特徴的な「擬音」。まずこのノイズのような効果音を入れなかったパターンを聴いてみます。その次に擬音を加えたパターン聴くと、擬音の効果・役割を実感します。
1人で弾いてみるとこの形。それが二人で弾くとこの形。では3人なら。4人だと。と、普段は聴けないような形で、音の動きや役割を一つずつ取り出して比較しながら実演されます。
同様に「ラヴェルの弦楽四重奏曲」も分解しながらの演奏と解説があり、
最後に「ラヴェル:弦楽四重奏 第1楽章」を通しての演奏です。
休憩をはさみ、後半が始まります。
最初にスメタナの紹介があり、次にレッド・ツェッペリンとYSQとの共通点を解説します。
キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイドマン(精神異常者たち)」という、隠しテーマにもぴったり沿った曲についても触れました。
ここで石田泰尚・執行恒宏・榎戸崇浩の3名が入場します。
スメタナの弦楽四重奏の楽章別に、描かれているテーマに関わる重要なフレーズを抜き取って演奏します。
この部分ではどういう心境を表しているのか、どのような終わり方をするか、皆様が本番で演奏を聴く前に、あらかじめ予習したいであろう曲のシーンを拾って、細かく見ていきます。
次に、キング・クリムゾンの21世紀のスキッツォイドマンの解説です。
電子楽器特有のひずみをノイズとして音楽とする「ディストーション」をヴァイオリンで再現します。こんな音が出るのか、出してよいのかと思うような奏法に驚きました。
この曲には登場する人格が2つある事を解説されたあとに、それが曲のどの部分に登場するか、演奏でも2つの場面を聴き比べました。
レッド・ツェッペリンの「カシミール」も、楽譜を見ながら解説が入ります。
3拍子に聞こえる2つのパートのみで演奏を行ったあと、全員で演奏を行い、普段は隠れてしまうパートの役割や、重なったときの面白さを実際に感じました。
最後に東京公演のレッド・ツェッペリン特集から、「移民の歌」を1曲まるっと演奏。
アンコールにピアソラの「天使の復活」が演奏されました。
終演後に回収したアンケートにも、「音楽に詳しくない自分も、少し理解ができた」「めったに聴けない解説がきけた」「スコアを見ながら演奏を聴け、おもしろかった」「さらに曲に興味がわいた」「今までに無い構成で楽しめた」といった声が、数多く寄せられました。
今年のプレミアムライブコンサートも、皆様にお楽しみいただけるよう、準備を進めております。
お楽しみに♪